アクセス解析 カウンター SEO ドリーム愛ランド 「僕の彼女は甲殻類」[4]
ドリーム愛ランド
日々の出来事を日記に書いていきます。
「僕の彼女は甲殻類」[4]
[4]

「きゃぁぁぁーーーーーーぁっ!」

中里がテラスのテントに戻った時、部屋の方から絹を裂くような悲鳴が聞こえてきた。

「やべっ」

慌ててナップサックの中にあったものを掴み、室内に戻る。

リビングに友里の姿は無かった。

中里は争うような声がする方へ急ぐ。

奥の部屋に着くと、ベッドの上で馬乗りになっている男の後ろ姿があった。

「いやっやめて……きゃあっ!」

そして男の下に組み伏せられている友里の姿が見えた。

中里は迷うことなく男の腰めがけてタックルする。

「ぐわっ!」

勢いのままに、男と共にベッドから転がり落ちる。

中里は直ぐさま起き上がり、振り返る。

友里の顔面は蒼白で、衣服は多少乱れていたが、怪我は無いようだった。

「……まさかこんなプレイってことも無いよな」

中里は冗談のように呟いて、友里に下がっているようにジェスチャーした。

けれど友里はすっかり足がすくんでしまったようで、ベッドの上から動くことが出来なかった。

「てめぇ……」

男が感情のこもった声と共に、ぬくりと起き上がる。

先程のタックルで、頭をぶつけて逆上しているようだった。

立ち上がると中里より10センチは大きく、首から胸部にかけての筋肉はアメフト選手のように隆々と盛り上がっている。

そして一番の特徴の金髪は、頭上のシャンデリアに照らされて煌々と光っていた。

「てめぇエビちゃんの男か?」

金髪の男が中里を睨む。

「んな訳ないだろ」

中里はそう言って、後ろの友里を見る。

友里もプルプルと首を振っている。

「よくも俺のエビちゃんを……」

「全く聞いてないし」

男の目は血走っていて、完全に焦点を失っていた。

そして近くにあった木製の椅子を掴むと、中里めがけて思いっきり振り回した。

フゥッ――。

――ドスンッ!

「うわっと!」

よろけたのか飛び退いたのか、中里はすんでの所で躱す。

空を切った椅子はそのまま壁に激突した。

脚がめり込んで、壁に穴を開ける。

「うわっ! よくも俺の新居を……」

中里の言葉を気にした様子も無く、男は強引に壁から椅子を引き抜いた。

べキッと音を立て、壁紙は大きくめくれ上がる。

「…………」

ぬらりと友里の前に立つように、中里は男に正対した。

そして先程ナップサックから持ってきたものをゆっくりと背中から引き抜く。

「ブーメラン!?」

友里は目を丸くする。

「世の中には……やっていい事といけない事の二つがある……」

中里はぶつぶつ呟きながら、男に向かってブーメランを構える。

男は思わぬ武器に驚き、椅子を前に出して防御する。

「――今回は……後者だっ!!」

そう叫びながら、手首のスナップを効かせて思いっきりブーメランを投げた。

ヒュンと風を切り、ブーメランは弧を描く。

「うわっ外れてるしっ!」

友里の言葉通り、ブーメランは明後日の方向に飛んでいったかのように見えた。

男のかなり上方。

そして、その上方にはシャンデリアがあった。

ガシャーン!

ものすごい音と共にブーメランが直撃する。

そしてシャンデリアを支えていた金具が切れ、男に向かって落下した。

重さは五キロ以上あるので、頭部に直撃したら一溜まりもない。

男は「うっ」といううめき声を上げて、その場にバタリと倒れた。

「まじ……っ?」

友里はポカンと口を開けて、信じられないといった目で見ている。

中里はパンパンと手を叩いて、ふーっと前髪に息を吹いた。

「ふん、狙い通りだ。とはいえ狙ったとこに行ったのは、初めてだけどな……」

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