アクセス解析 カウンター SEO ドリーム愛ランド 「クレイジーザト」[1]
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日々の出来事を日記に書いていきます。
「クレイジーザト」[1]
 クレイジーザト

 〜僕の彼女は甲殻類(番外編)〜

曽我の元に一通のメールが届いたのは、日曜日の夜六時過ぎのことだった。

土曜の夜は、毎週のように友人と徹夜で麻雀をしているので、彼のことをよく知る人は、この時間にメールをしてくることはない。

『曽我さん、助けて下さい。遭難しました。中里』

文面に目を通すと、曽我はチッと舌打ちして、携帯を閉じた。

ただでさえ、睡眠を妨げられたことで機嫌が悪かった。

しかも、こんなふざけてるとしか言いようのないメールが、後輩から送られてきたのだから、尚更だった。

携帯を横に投げ、またバタンと布団に横になる。

天井の蛍光灯を見つめながら、ふと昨晩のことが頭を寄切った。

――そういえばあいつ、何処かに出掛けるとか言ってたな。

昨夜は、いつものように中里を呼んで、四人で卓を囲もうかと思っていたのだが、用があるということで、わざわざ木村に頼んだのだった。

こっちが下手に出るしかないのを知っていて、木村には随分傲慢な態度を取られた上、渋々といった感じで参加したが、結局木村の一人勝ちで終わった。

帰り道で、「じゃあまた来週でも」と口元を緩めた表情を思い出すだけで、悔しさが込み上げてくる。

とりあえず、昨日のメンバーに確認してみようと、部屋の明かりを付けて電話する。

「……あぁー……はい」

十二回という長いコールの後に、低く気怠げな声。

松本も寝ていたのかもしれない。

「あぁ松ちゃんか、悪いな。ちょっと訊きたいんだけど、ザトって何処に出掛けるって言ってたっけ?」

「えぇっ……? あーちょっと待って」

後ろでゴソゴソと音がする。

続いて間延びした女性の声。

どうやらかなり間の悪いタイミングで、電話してしまったようだ。

松本は、んっと短く咳払いをして口を開く。

「俺のライトを貸してくれって言ってたからなぁ。山にでも行ったんじゃないかな」

「山……? マジかよ、この時期だぜ」

季節は十一月の中旬。

山頂ではもう、雪が積もっているところも多いだろう。

「うーん、そんな感じだと思うけど。でも俺のライトって、富士山登った時のだからさ……ニーキュッパの。そんなに険しいとこじゃないと思うけど」

松本の声は楽観的だった。

けれど、曽我は猛烈に嫌な予感がしていた。

何せ中里は、“クレイジーザト”という呼び名が付いているぐらいの、規格外な男なのだ。

一緒に旅行して曽我は、何度も彼のクレイジーぶりは目にしている。

ハンディカム片手に、録画しながら滝登りをしたり。

数十メートルの岸壁の上から、上半身を乗り出したり。

落ちたら火口に一直線の山頂で、走り回ったり、逆立ちしたり……。

身軽で運動神経がいいのは確かだったが、とにかく怖いもの知らずで、はっきり言えば無謀なやつなのだ。

「……それで、なんだけど」

曽我は中里からきたメールの文面を、松本に伝える。

頭の中では様々なイメージが渦巻いていて、とても一人では抱えきれなくなっていた。

「…………」

話を聞いて、松本はうーんと深く唸った。

そして女に向かって二、三言、何か言ったようだ。

女は不満そうな声を上げている。

「……あぁ、確かに嫌な予感はするな。とりあえず緊急集合だ」

松本の声も、すっかり重みのあるものに変わっていた。

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