「あいつ、マジで山に行ったと思うか?」
曽我はウーロン茶を口に運びながら、二人に訊ねる。
うーんと、松本と露崎の顔も曇っていった。
彼らも一緒に旅行に行って、中里の暴れっぷりは何度も目にしている。
そしてやつなら、十分考えられることだと思っていた。
「この文面からすると……限りなく黒に近いと思うけど」
松本が口を開く。
曽我も同意見だった。
そういえば、と露崎が思い出したように口を開く。
「一昨日会った時に、ザトにこんなことを訊かれたんですけど……」
――露さん、気温って百メートル上がる毎に、何度下がるんでしたっけ?
露崎が「0.6度だ」と答えると、
――あ、そうでしたよね。じゃあ東京が十八度なら、あっちは三度ってことか。結構、寒いんだなぁ。
そう言って、ユニクロへ向かっていったそうだ。
その時露崎は、変なことを訊くやつだなと思ったが、元々変なやつなので、特に気に留めず流していたのだという。
「ということはだ……」
曽我は松本の顔を窺う。
「あぁ、ザトの行った先は、二千五百メートル、ってことになるね」
「…………」
場は一瞬にして凍り付く。
「マジかよ!? 死ぬだろ、そんなの」
曽我はバンとテーブルを叩いて立ち上がる。
「しかも東京の十八度っていうのは、あくまで最高気温だろ? 最低気温は大体……」
「今日だと、十三度ぐらいですかね」
露崎が眉を寄せて言う。
「ってことは、計算すると」
「うーん、向こうはマイナス二度ってことになるね……」
松本の言葉は、絶望的な重みを持っていた。
「絶対、積もってるだろ。下手したら、一面凍ってるじゃないか……」
曽我は力無く、椅子に座る。
そしてそれに追い打ちを掛けるように、露崎が口を開いた。
「あいつはそれを、ユニクロのフリースで何とかしようと思ったようですね……」
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