「キム、お前のノートパソコンを貸してくれ」
曽我は、天津飯を食べ終え、一人携帯をいじっている木村に言う。
「一体何だ? 何に使うんだよ」
木村は警戒の表情を浮かべていた。
以前、曽我たちにパソコンを見られて、自分の性癖を暴露された上、思いっきり笑われた出来事は、まだ彼の記憶には新しい。
「話を聞いてろよ。ザトがどの山に行ったのか分からないと、公共機関に連絡しようもないだろうが」
曽我は呆れ顔だった。
木村はぐっと眉を寄せ、鼻息を付いた。
「……何だ、そんなことか」
そしてまた携帯に目を戻して言う。
「我が国には二千メートル級の山は十三個ある。その中で、二千五百メートル前後の山は、白山、浅間山、男体山、妙高山、大雪山あたりだろう」
「あぁ、それで……?」
「北海道の大雪山は問題外として、後は順番に岐阜・長野・栃木・新潟だ。朝から出掛けたとすると、岐阜や新潟も消えるだろう。ということで残る選択肢は、浅間山か男体山だ」
「なるほど……で、どっちなんだ?」
松本も露崎も、身を乗り出して聞いている。
「男体山だ。帰りに日光土産を買ってきてくれるって言ってたからな」
木村は自信満々に答える。
「…………」
それなら初めからそう言えよ――と、三人とも同じ思いを抱いて、胸の内に溜め込んだ。
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