「本気ですか? 二人とも……!」
露崎には、二人の言葉がとても信じられなかった。
曽我と松本は、真剣な顔で頷いている。
「夜の……雪山ですよ? しかも吹雪が吹き荒れてるっていう……」
「中里はそれでも登れると思ったんだろ? あいつが出来ると思ったことを、俺たちが出来ない訳がない」
曽我は口元を緩めて言う。
「…………」
露崎はそれでも信じられなかった。
救助隊を出せない程の強風だというのに、その中をこの二人は登ろうというのだろうか。
「…………」
しばらく押し黙った後、固く唇を閉じて顔を上げる。
「それなら……俺も連れてって下さい。俺もあいつを助けたい気持ちは二人と同じです」
決意の目だった。
松本はその充血した目を見て言う。
「露ちゃんはいいよ。昨日からずっと徹夜なんだろ? それじゃあ、さすがにきついって」
「そんな、それは二人だって……」
「あぁ。それに露ちゃんには、他にやってもらいたいことがあるんだ」
曽我が口を開く。
「ここに残って、俺たちの後方支援をして欲しい。ネットや本で情報を調べて、コースや天候状況などを教えて欲しいんだ」
雪山など登ったことのない二人には、外部のサポートが不可欠だった。
二人の目を見て、露崎も首を縦に振る。
「わ……分かりました」
「それともう一つ。何とかして中里の回線を復活させて欲しい。それでもし繋がったら、あいつのことを励ましてやって欲しいんだ」
露崎は固く唇を閉じ、頷く。
そしてハチ公前交差点で、三人は道を別にした。
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
