アクセス解析 カウンター SEO ドリーム愛ランド 「クリスマス殺人事件」
ドリーム愛ランド
日々の出来事を日記に書いていきます。
「クリスマス殺人事件」
俺は、今ここに犯行声明を上げる。

クリス=マスという欧米野郎を、近日中に殺害して見せよう。

やつのせいで、12月の25日というこの差し迫った時期に、俺は、正に猫の額のようなスペースで、正に猫の手も借りたいほどの忙しさで働き回らされているのだ。

しかも頭には訳の分からない角の付いた茶色のかぶり物までさせられて。

店長の趣味は全く理解不能だ。

奥さんが出て行ったのも妥当な判断だと言えよう。

マス野郎を憎む原因と言ったらそれこそ、今日新たに電話で予約が入ったホールの数ほどある。

アメリカだかイギリスだか分からんが、故郷ではっちゃけてもらう分には全然構わない。

そちらさんで羽目外してもらってる間に、うちの国はせっせとお金を貯め込むなり、天文学的数字にまで膨らんだ借金でも気休め程度に返させてもらうことにしよう。

そしてもう幾つ寝るとお正月だ。

来るべき新年に向け、ゆっくり今年を振り返りながら準備をしよう。

大掃除なり、おせちを用意するなり、久方ぶりに年賀状に筆をとるのも良いだろう。

それが全部やつのせいで台無しになってしまった。

うちの部屋が汚れているのも、友人関係がどんどん狭まっていくのも、全てやつの陰謀の一環だと思っている。

大体、何だ。

元々はお前だって家族とほのぼのやっていたじゃないか。

お袋がいて親父がいて可愛い妹がいて、内輪でやっている分には俺だって文句は言わない。

認めたっていいだろう。

それがどっかの偉い人が生まれた日に、何で彼女や彼氏にプレゼントを渡さなければいけなくなったんだ。

そしてシャンパンでヤッホーイとグラスを重ねながら、どさくさに紛れて体まで重ねてみたり。

教義の貞操観念は何処へいっちまったんだ。

そういう緩いグレーゾーンを内含しているところが、最も頭にくるところだ。

そして俺の手は、バターやクリームでべたべたになっていく一方だ。

洗おうにも蛇口が既にべったべただ。

手で思い出した。

さて、どうやってやつに手を下すかだ。

やるなら早い内がいい。

当日まで待つのもいいが、やつが七面鳥なりケーキで更に肥えた体を見るのは不愉快だろう。

となると猶予はあと二、三日しかない。

そして出来れば完全犯罪にしたいところだ。

俺だって捕まりたくはない。

本当は勝手に出て行ってもらうのが一番なのだが、中身がくり抜かれたカボチャや、目の黒いネズミ一家と手を組んで、更に下半期を自分たち色に染めようと考えている陰謀に、俺は気付いてしまった。

お陰でこっちは十七連勤。

労働基準局は何やってるんだ。

やはりこれは実力行使しかないだろう。

やつの居場所を見つけるのは簡単だ。

只でさえどでかい図体をしているし、全身に電飾を張り巡らせて常時発光中だ。

エコやロハスとかいう仮初めばかりの発想は何処行ったんだ。

普段こつこつエアコンの設定温度を絞って貯めた、何倍のカロリーをやつが使ってると思っているんだ。

しかもやつの無節操な散財は、強烈な伝播力まで持っていやがる。

あっちぃ地球がどうなろうかは知ったこっちゃないが、即刻粛正しなくてはならないだろう。

一つだけ心配なのが、やつの妹のイヴちゃんのことだ。

イヴちゃんは健気でいたいけな美少女で、やつとは違う純粋な心を持っている。

マッチとグラスベルと白い雪が、線の細い身体に実に似合う。

マスを手に掛けるということは、どうしてもイヴちゃんの私生活にまで影響は及んでしまうだろう。

俺は女の子を泣かせることだけは出来ない。

ううん困った。

「おい、こらバイトー!」

店長の声。

俺は腱鞘炎になりそうな手を止め、急いでレジに行く。

何処の世界に、クリームを泡立てながらレジをこなさせるケーキ屋があるんだ。

しかもトナカイのかぶり物までさせられて。

店長の頭の中はきっと溶けたバターに類するものでも入ってるんだろう。

奥さんに逃げられ、娘は冬休みに入った途端に彼氏と一週間の旅行に行きやがった。

満面の笑みで「お土産を買ってくるね」と言われて、ノーと言えない俺も、子煩悩な店長も頭を縦に振ってしまった。

娘は店長に似て残念な子だけど、一応この店の看板娘でもある。

ということで俺は、その尻ぬぐいを見事に押し付けられることになり、本来は四人体制のケーキ屋に店長と二人。

朝から晩まで、それこそ馬車馬の如く働かされ続けている次第だ。

まぁ別に他に用もないけれどさ。

とはいえ彼氏というのが、これまたこの店のパティシエなのだから厄介なのだった。

クリス=マス、ファックユー!

頭の中ではクリスマスマーチの代わりに、デスマーチが流れている。


[end]

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